間違ったグリップの握り方をすると試合に勝てません。
バドミントンで上達するにはグリップの握り方(ラケットの持ち方)が重要。間違ったラケットの持ち方だと強い球が打てないし打てる方向が極端に少なくなる。
そしてなにより、相手にどのコースに打たれるのは予測され、試合ではとても不利な展開になります。
もちろん公園で楽しくシャトルを打つだけならどんなラケットの持ち方をしてもかまいません。でも、本気で上手くなりたいならグリップの握り方を覚えてください。
- コート奥まで打てるクリア
- 威力あるスマッシュ
- 力強いドライブ
など良いショットを打てるようにしましょう。
初心者のラケットの握り方を説明
初心者はまずこの2つの握り方(持ち方)を覚えてください。
いろいろなグリップがあるが初心者はこの2つをマスターすることで、上達するための基礎ができます。
イースタングリップの握り方
スマッシュやクリアの打つフォアハンドのグリップはイースタングリップで握りましょう。
包丁を持つようにラケットを持つのが、イースタングリップです。
バドミントンではイースタングリップで握ることで一番威力のあるショットが打てます。なぜなら腕の回内・回外運動、内旋・外旋運動が使えるから。
自分からはガットが見えません。ガットが見えない状態で握手するようにラケットを握ります。
グリップを握って支えているのは中指、薬指、小指です。親指と人差し指を確認してください。添えているだけなので隙間が空いているのがわかるはず。
そうすると、親指と人差し指の間にVの字ができます。それが正しいイースタングリップの握り方です。
中指、薬指、小指も支えているからといって、力が入っているわけではありません。ショットを打つ瞬間だけ握りこんで、あとはリラックスしてラケットを持っています。
このように深く手のひら全体で持ってしまうのはNG。力が入りずらい上に加減が上手くできません。
バックハンドは親指で押すサムアップ
バックハンドは、イースタングリップのフォアハンドから少しだけラケットを回して握ります。
具体的に言うと、45度まわしてください。もしラケットを回さないと回外運動にならず掌屈(下記動画参照)で打つことになります。パワーがでず全然シャトルが飛びません。
また90度まわしてしまう人が多数います。回しすぎは間違いで、ラケットを振るというより、押し出す運動になります。例えば、剣道で面を打つ動作と同じ。回外運動ではなく肘の伸展運動になる。
自分がどのくらい回しているか、必ずチェックしてください。
掌屈の動画、この打ち方は飛ばないし手首も痛める。バドミントンでは絶対にやってはいけない動作。
待っているときのラケットの持ち方
動画の24分32秒~59秒をご覧ください。とくに56秒のラケットの持ち方に注目
ニュートラルの握りで待つ。動画では「中間の握り」となっています。
相手の返球を待っているときは、親指と人差し指ではさむようにグリップをもちながら握ります。そのため指の間とグリップには大きな隙間があるのを確認しましょう。
自動車のマニュアル車に例えると、どこにもギアを入れていない状態。しかし、すぐにどのギアにも入れられる状態。
強くグリップを握っていると「グリップチェンジ」ができないので、軽く握ります。詳しくはのちほど説明。
通常、相手からのショットも待つ時は、ニュートラルで持っていて、相手のショットがフォアが来たら人差し指を上げる。バックが来たら親指を上げる。
相手のショットをが左右どちらにくるのか瞬時に判断して、フォアとバックに素早く握り替えます。
グリップチェンジができないときの対処法
どこに飛んでくるかわからない場合、とっさにグリップチェンジができない。
そんな時はバックハンドで待ちます。左右どちらに打たれても、そのままバックハンドで打ちます。体を上手く使って横に移動させながら返球。左右どちらのショットにもうまく対応しましょう。
動画はバックハンドのまま打っています。その時少し体を動かして、スイングができるようにスペースを作りましょう。
ダブルスでこの技術が使えないと試合で勝てない。なぜならダブルスでは前衛がいるのでラリー展開は速い。逆にシングルスでは展開は速くないので、グリップの握り替えをする時間はある。ダブルスの試合が多い人は必ず覚えてください。
どこに飛んでくるか予測が間に合わないときは、バックハンドで持つと書きました。
フォアハンドで相手のショットを待っていたら、自分のバック側に来た時に対応できない。なぜならフォアハンドは守備範囲が狭い。
フォア側に来ると予想して、バック側に来たらまず返球は不可能。せいぜいラケットに出してネット前に返球が限界でしょう。そうなれば、ネット前でプッシュを打たれラリーが終わります。
ただし、フォア側に飛んできそうと予測できれば積極的にフォアハンドで待つのはOK!フォアハンドで打てるほうが強打できるので、相手へのプレッシャーをかけられます。
グリップの握る強さ
私がいつも意識しているのは卵をもつくらいの強さ。ラケットを床に落とさないようにギリギリの力でグリップを握る。
強く握りすぎると、ラケットの持ち替えがスムーズに行えないから。もう一つ、常に力を入れているとシャトルを打つ瞬間に握り込みが行えず鋭い、振りができない。
私が初心者の時の試合の話。試合に負けたくない気持ちあり、緊張していたのか、ずっと力いっぱいラケットを握って試合をしていました。
ウエスタングリップについて
ウエスタングリップについて説明していきますが、基本あまり使いません。メリットよりもデメリットが大きいから。一番の使わない理由はショットに威力が出ない。
男子でパワーのある人なら飛距離が出ます。しかし、女子や子どもなど非力な人は全然シャトルが飛びません。パワーを出すという意味では、とても非効率な打ち方なのです。
ただしメリットもあります。
もしウエスタングリップを使うなら、メリットの部分だけ使ってもよい。
また対戦相手がウエスタングリップの場合もあるでしょう。その時に相手の弱点を知れるので、知識として持つことはとても重要です。
- ウエスタングリップの握り方
- ウエスタングリップの弱点
- ウエスタングリップの直し方
(青い文字をクリックすると語句説明に飛びます)
ウエスタングリップの握り方
ラケットを床に置き、上から握るとウエスタングリップになる。
メリットは面がまっすぐなので初心者はラケットに当てやすいこと。前衛など速い球に対応しやすい。そしてリバースカットが打ちやすいくらい。しかしながらメリットよりデメリットの方が大きすぎます。
握り方を書きましたが、極力使わないようにしましょう!
その通りです。10年以上はバックハンドの握り方をウエスタングリップで握り、サムアップ(親指を立てる)そして肘の屈曲・伸展でラケットを振っていました。しかしこの打ち方は現在では間違いです。(中上級者もドライブやプッシュで使うことはあります)
ラケットも最近ではかなり軽量化しています。昔のラケットは木製でかなり重い。そのため回外運動を行うと腕を痛める。だから肘の屈曲、伸展運動でシャトルを飛ばしてました。
屈曲、進展運動とは、肘の曲げ伸ばしのこと
しかし、最近のバトミントンでは、肘の伸展でシャトルを打つとシャトルが強く打てません。
バドミントンが上達したいならウエスタングリップのみだと上手くなれません。(とっさに使うことは良いです。いつも使うならダメという意味)
以前、私も初心者に「最初はどんなグリップの持ち方でもいいよ」と勧めていました。なぜなら、まずはバドミントンを楽しんで欲しかったから。前腕を回すと言う慣れない動作を習得しようとすると、なかなかシャトルが打てない。
楽しくなければ練習もやらない。 そんな理由から私は初心者に好きなようにグリップを持たせる。
しかし、最初はみんな同じように成長するのですが、ある程度まで上手くなってくると、ウエスタングリップの人は強いショットが打てない、返球が甘くなるなど伸び悩むことが多かった。
そして結局、「グリップの握り方を最初にきちんとしておけばよかった」と言う声を聞く。だから私は初めに聞きます。「楽しくやりたいですか?」「上達したいですか?」と。
「間違った握りをすると、矯正するのに時間がかかるから最初が肝心」本当にその通りです。最初の1ヵ月頑張って、正しい握り方を覚える方が、後から半年かけて矯正するよりもはるかに効率が良いですから。
バドミントン ウエスタングリップ 弱点
ウエスタングリップをお勧めしないのは大きな弱点があるから。
3つの理由があります。
- 回内、回外運動が使えない
- コースが見破られやすい
- クロス側に打つ時、大振りになる
回内、回外運動が使えない
回内や回外をしながらラケットを振ると、スイングスピードが上がります。
回内と回外が使えないから。回内回外運動は前腕をまわす運動です。例えばドアノブをまわすように動かす、または「うちわ」を仰ぐ動きがと正しい。
逆に掌屈(猫手)でラケットを振ると、スイングスピードは遅くなる。
初心者だと手首を前に曲げる掌屈で打つほうが、パワーがでるような気になることが多いです。
しかしそれは錯覚!!前腕を回すことを普段しないので、力が入っていないように感じるだけ。イースタングリップだと自然とこの運動をします。だから最初に正しいグリップの握り方を覚えるのが重要なのです。
コースが見破られやすい
ラケットの面や向きが見やすいため、どのコースに打つのか見破られやすい。
初心者のうちはミスが少なくラリーを続けたほうが勝ちます。そういう意味では、初心者同士の戦いではウエスタングリップは有効と言える。しかし初級者にレベルが上がるとミスも減ってくるため、コースを読まれる事はかなり不利な状況になります。
中級者以上に上達したいならばイースタングリップの習得は必須。
クロス側に打つ時、大振りになる
コートのクロス側にシャトルを打つときフォームが大きくなる。ラケットを大きく振らないとクロスに飛ばない。
特にコンパクトにシャトルを打つ展開の速いダブルスでは致命的。大きく振ると、次の球への準備や対応ができないから。
バドミントン ウエスタングリップ 直し方
私自身、ウエスタングリップからイースタングリップに変更できた経験があり、本人のやる気次第で後からいくらでも修正することは可能だと考えます。すでにウエスタングリップの人もぜひやってみてください。
まず正しいイースタングリップの握り方を覚える。動画や写真を見て正しい動きを観察する。そして、ラケットを持って実際に振ってみることが大切。ただし最初は思い切りラケットを振る「素振り」はやめてください。
目的はウエスタングリップを矯正すること。正しい握り方でラケットを握り、3~4割の力でゆっくり振る。
「あーこの前腕の筋肉を使うんだ~」と感じながらやります。フルスイングしてしまうと、どこの筋肉を使っているのが自覚できない。スローで素振りすることで、まずどんな動きか頭と体で理解しましょう。
素振りを始めると、必ず違和感が出てきます。当たり前ですが、今までと違う腕の筋肉の使い方をするのですから「振りづらいなあ」と思うのは当然のこと。しばらく続けてください。
必ず素振りから始める。
第1週目 素振り (ゆっくり、30回3セット 朝昼夜と分けてもよい)
第2週目 基礎打ちなど試合前の練習で試す (素振りも続ける)
第3週目 試合の中で使ってみる (素振りも続ける)
学生によく言われたことです。そういう時にお勧めのやり方があります。私が実際にやっていた練習方法は「うちわ」を使って素振りする。素振りは正しいグリップの持ち方と前腕の筋肉に正しい動きを覚えさせるため、だから「うちわ」でもOK。
家の中でもできるし、車の中でもできる。ただし冬に持っていると怪しまれますが(汗)
ラケットに比べて「うちわ」は腕が疲れづらいので、100回以上やっても大丈夫。回数をとにかくこなすためにやっていました。
なかなか直らない人は素振りの期間を延ばす。1、2か月かけても直すんだという気持ちが大切。焦ってもいい結果が出ません。上達するために大事なことなので、あわてずゆっくりと取り組みましょう。
また試合中に試すと、必ずうまくいかないときが出てきます。練習試合で負けたり、思い通りに打てなかったり・・・でもそこは練習だと割り切ってください。
短期的な結果を求めると、ウエスタングリップに戻ってしまいます。ここが我慢のしどころ!!
イースタングリップを使えると、楽にパワーが出てバドミントンがさらに楽しくなりますから、それまで素振りを丁寧にしましょう!